【読書感想文】父親といじめ。重松清「ナイフ」を読んで。
本業が忙しくて中々読書に時間を割けなかったしぼたんです。
今日はこの本を読みました。重松清作品は読みやすく早く読めるものが多いので、忙しい中でも読めてしまうから助かります。
どんな小説?
「悪いんだけど、死んでくれない?」ある日突然、クラスメイト全員が敵になる。僕たちの世界は、かくも脆いものなのか! ミキはワニがいるはずの池を、ぼんやりと眺めた。ダイスケは辛さのあまり、教室で吐いた。子供を守れない不甲斐なさに、父はナイフをぎゅっと握りしめた。失われた小さな幸福はきっと取り戻せる。その闘いは、決して甘くはないけれど。(新潮社HPより)
以前「読書感想文の書き方」に関してこんな記事を書きました。
今日はこの書き方に従って、まずは「この本を読む前の自分」の事から書いていきたいと思います。
「ナイフ」を読む前の僕は…
「ナイフ」は「いじめ」をテーマにした作品です。僕はこのテーマが苦手。学生時代を思い出して憂鬱になるからです。
中学時代、僕は友人とくだらない理由でケンカしました。次の日から僕はその子を無視し、周りの友人達にも同じ行動をけしかけようとしていました。クズ野郎でした。
しかし、僕は良き友人に恵まれていました。
野球部に所属していた硬派な友人が「そんなダセぇ事は止めろ」と僕を諭してくれました。ストレートに止めろ言われたので、僕は間違いを正す事が出来ました。即日ケンカしていた友人と仲直りし、僕は事なきを得ました。
今でも僕は彼らと友だちであり、酒を酌み交わす仲です。もしあの時、僕の間違いを正してくれる友だちが居なければ…。考えただけでゾッとします。
そんな経験もあって、「ナイフ」を読む前の自分は「いじめ」の残酷さを知らずに生きていました。とても幸運な学生時代だったと思います。
「親」になる前に読めて本当に良かった。
「ナイフ」は5編の物語で構成されています。その中で本書のタイトルにもなっている「ナイフ」について書きたいと思います。この物語は、
いじめられている息子を持った父親
が主人公です。最初に彼は「息子がいじめられているのでは?」という母親の不安に同調する事が出来ませんでした。息子は父親が思う「いじめられるタイプ」とはかけ離れていたからです。スポーツも出来て、リーダーシップもある、友人が多い子、そんな我が子がいじめられるなんて…と父親は思うわけです。
しかし彼はある時、息子の通学鞄の中身を見てしまいます。
国語の教科書は表紙が引きちぎれ、数学の教科書は水に浸けられたのか紙がふやけ、英和辞典の表紙には蛍光マーカーで女性器が落書きされ、ノートのすべてのページに〈ドチビ!死ね!〉と大きく殴り書きしてある。
(本文より)
いじめを知った彼はどうすることも出来ない自分を
私は、弱くずるい父親だ。(本文より)
と、卑下します。
僕にもし子供が居て、いじめられていたら。それを知ってしまったら。強い父親でいられる自信は全くありません。僕も何も出来ないんじゃないかな。
これってめちゃくちゃ難しい問題ですよね。親としてどうすべきか。正解の無い問題です。思春期の子供って親に素直に助けてって言えないですよね、ホントは助けて欲しいけど。どうやって伝えたら良いか分かんないはず。
解決法はわからん。けど、思ったのは、
子供に「コイツに話しても無駄だ」と思われる父親にはなりたくない
ってことです。
話したくなる父親がどんなものかも分からんですが、日頃から話もしない様な相手には確実に相談なんてしません。僕と僕の父も昔はほとんど会話しない親子でした。今ではLINEをする仲ですが、かつての僕は父に決して人生相談なんてしませんでした。
大人になった今だから分かりますが、
親父との会話ってスゲー大事です。親父もきっと話したがってますよ。どうコミュニケーションとっていいか分からんだけで。
だからこの本を読んだら、自分の父親と何でもいいんで話をして欲しいです。マジで。
おわりに
結局「ナイフ」の読書感想文にはなってないですね笑
でも自分の想いはまあまあ書けたと思います。
「父親といじめ」を考えられた。それだけで読んだ価値がありました。