しぼたん企画

テレビ業界の片隅でひっそり働く現役放送作家が更新するブログです。

【話題の小説】砕け散るところを見せてあげる

今日読んだ本がコチラ。 

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いま何処の書店にも必ず平積みになっている話題の小説です。

僕がこの小説を買う事にした決め手は、2つ。

 僕はソラニン伊坂幸太郎も大好き。

この2人が推薦している作品なのだから必ず面白いはず。

ワクワクで読み始めました。予想通り面白かったので記事を書いてみます。

こんな人にオススメです!

  1. 今、いじめに悩んでいる人。
  2. 誰かの助けになりたい!正義感の強い人。
  3. 固い文章の小説が苦手な人orライトノベルが苦手な人。
  4. マンガ「君に届け」が好きな人。
  5. ただの青春小説では物足りない人。

その理由は?

今、いじめに悩んでいる人。  

本作のヒロイン・蔵本玻璃(くらもと・はり)は、学校でなかなか激しめのいじめを受けている高校生の女の子。

全校集会で頭に丸めた紙屑、上履きを投げつけられたり。

その紙屑には「しね」って書かれていたり。

教室では机や椅子の足を、通りすがりざまに蹴られたり。

下駄箱の上履きを投げられたり、蹴り飛ばされたり。

トイレに閉じ込められ、バケツ4杯の水をかけられたり。

そのいじめは小学生レベルの単純なものですが、それだけにストレートで残酷。読んでいて胸の詰まるものばかりですが、この小説を読む上では大切な要素です。なぜなら物語の主人公は、この玻璃を助ける為に奮闘するヒーローだからです。

誰かの助けになりたい!正義感の強い人。

主人公・濱田清澄(はまだ・きよすみ)は、玻璃と同じ高校の3年生。

全校集会でいじめを受ける玻璃を目撃し、正義感の強い彼は彼女を助けます。その後も玻璃が居る1年生の教室まで彼女を見守り、トイレに閉じ込められた彼女を助け出したのも清澄です。

いじめられている人に手を差し伸べるのは、とても勇気のいる行動です。偽善っぽいとか思ってしまうかもしれませんが、清澄の場合は自己陶酔ってわけではありません。

清澄にもそれなりの過去(いじめに発展していたかもしれない出来事)があり、その出来事がきっかけで親友も出来ます。清澄はそんなネガティブ経験を「宝物」と感じています。玻璃のいじめを見過ごしてしまえば、自分はこの宝物を自ら捨てる事になってしまうと考えたからこそ、清澄は玻璃に手を差し伸べるのです。

こうなると「結局自分のため?」とも考えられますが、清澄の正義感と行動は、確かに玻璃を救いますし、彼女を運命を変えました。多かれ少なかれ正義を大事にする人には共感の多い小説である事は確かです。

固い文章の小説が苦手な人orライトノベルが苦手な人。

続いてはこの小説の書かれ方について。

著者は「竹宮ゆゆこ」さんで、「とらドラ!」作品が有名で、ライトノベルの世界で特に知られた作家さんです。

「砕け散るところを見せてあげる」にもそんなライトノベルで培ったと思われる著者のノウハウが活かされていると感じました。

コミカルな文章と台詞。小説を読み慣れていない人でもすんなり入っていける思います。また、ライトノベルが苦手な人でも読み応えを感じる事の出来るしっかりとした小説でもあります。

マンガ「君に届け」が好きな人。

読み終わった後、僕は玻璃の事を「君に届け」の黒沼爽子みたいだなと感じました。

爽子は陰気な見た目で周りに馴染めず、「貞子」なんてあだ名まで付けられている女の子。人と関わる事が苦手で不器用です。

玻璃も基本的には同じ。でも爽子と一緒で本当は素直で純粋な良い子なんです。

序盤は中々、玻璃の素直な可愛さを感じる事が出来ませんが、清澄に助けられ物語が進んで行けば行く程、本当の玻璃が見えて来て、彼女の事がどんどん好きになります。

もう1つの爽子と玻璃の共通点は「天然で不思議ちゃん」。個人的な趣味ですが、僕は天然で不思議ちゃんな女性キャラに弱い…笑

良い意味でライトノベル的なキャラクター作りがこの小説に唯一無二の魅力を与えていると感じます。

ただの青春小説では物足りない人。

ここまでは、主人公がいじめられっ子の女の子を助け、女の子の人生を変えて行くというありがちな青春小説の様です。しかし「砕け散るところを見せてあげる」は普通の青春小説とは違います。

伊坂幸太郎さんも「この作品を読み終えた時、その野心的な構造に興奮しました」と評しています。

「恋愛と殺人」という真逆の要素を取り入れる挑戦的な構造。最後の最後に明かされる主人公・清澄と玻璃の運命。オチを読者に読ませない巧みな構成と伏線の上手さ。

放送作家として凄く勉強になりました。

おわりに

僕がこの「砕け散るところを見せてあげる」を読んで思った事はざっくり言うとこんな感じです。もっと書きたい事はありますが、長くなりすぎます笑。というかもっと上手くまとめられれば良いだけなのですが…頑張ります。

とにかくこの小説はオススメです。いま本屋さんに行けばすぐ見つかります。

是非チェックしてみて下さい。